フィッシュストーリー
「どちらかと言えばあれは、幸せな笑い声だった。」(動物園のエンジン p35)
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/01/30
- メディア: 単行本
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- 「動物園のエンジン」
市長殺しだ何だと気を持たせた挙句のあの真相はいいなぁ。
殺人事件とかと比べれば他愛の無い真相なんだろうけど、絶対にこっちのほうが素敵だ。
- 「サクリファイス」
黒澤の、首をつっこみつつも一定の距離をとる姿勢に好感を感じた。
最後、喜んでいる姿を思い描きながらもそっけないことを言う感じが絶妙。
- 「フィッシュストーリー」
思いが、時を経て形を変えながらも伝わっていくのが良かった。
こういう話を俯瞰で見れるのが小説の醍醐味だなぁ。
- 「ポテチ」
あそこで終わらせるのは、綺麗だけどひどいなー。その後がメッチャ気になる。
最終的な結論はポテチの取り違えのエピソードで出てるんだろうけど、あの個性的な母子がどういうやり取りを経てそういうところに落ち着くのか見たい。
既刊の登場人物のその後の話や、彼らが現在進行中の物語(の登場人物)に影響を与えていることが描かれるのは伊坂作品の常套手段。そういう話を読むと、彼らの人生があの物語のあとも続いていることが実感できて、彼らの物語を楽しみ彼らを好きになった身としては非常にうれしい。