独白するユニバーサル横メルカトル

「申し遅れまして相済みません。私は建設省国土地理院院長承認下、同院発行のユニバーサル横メルカトル図法による地形図延べ百九十七枚によって編纂されました一介の市街道路地図帖でございます。」(p225)

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

独白するユニバーサル横メルカトル (光文社文庫)

このミステリーがすごい! 2007年度版」国内編の第一位。でも中身は全然ミステリーではなくむしろスプラッタ小説な印象。って言うかほとんどグロ描写メインじゃん。これがこのミス一位なのが一番のミステリーな気がするなぁ。どんなチョイスだよ。


本書は8つの短編からなる短編集。殺人鬼が使用していた地図帳の独白とか人間の脳を食べて知性を吸収する元サーカスの大食い男とか、それぞれ設定は非常に面白い。でもその設定の非凡さに比べるとオチが割とストレートなのが個人的にちょっと残念だった。これだけ珍妙な設定を繰り出してきたんだからその設定をふんだんに利用した劇的なオチが待っているんだろうと変な期待を持って読んだのがまずかったかなぁ。