ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション
上野の近くに大学があるというのは素晴らしい。大学終わりに上野の森美術館でやっているネオテニー展に行った。
ネオテニーとは漢字では幼形成熟と書き、パンフレットによると「動物学や発達学で、幼いまま、性的に成熟する進化の過程を指します。」とのこと。
日本人が幼いみたいな話を言う人間はよくいるんだけど、正直言って全然ピンとこない。そもそも、文化が違う民族間において何を共通の基準にして精神的に成熟しているとかいないとか論じるんだろう。そりゃ、体格じゃあ負けてるけどさ。向こうの主観だと日本人は精神的に幼いとか言われても、こっちの基準からしたら特にそちらがより成熟してるとも思いませんし、って話で全然かみ合わないと思う。
まぁそれはともかくネオテニー展。ネオテニー要素は出品作品を見ても分かるような分からないような。奈良美智とかMr.とかそういう感じなんだろうか。
現代美術の展覧会で(個人的に)よくあるパターンなんだけど、興味を持てるの作品と持てない作品のの差が激しかった。好きなのは大好きなんだけど、好きじゃないのは本当に興味ない感じに。今回は琴線に触れるものが多くて良かった。図録が微妙だったのは少々不満だけど。せっかくだから気に入ったものの感想をいくつか。
奈良美智の少女絵は目力とか漂ってくる雰囲気が良かった。女の子が山になってるのが特に好き。
会田誠は「紐育空爆之図」が見れたのがうれしかった。あれは国宝にすべきだなー。「大山椒魚」は要素としてはエロいのに、実際見ると美しいって感想が浮かぶのが面白かった。これぞ芸術って感じ。
天明屋尚の「ネオ千手観音」はとにかく格好いい。あんな仏様なら土下座して祈るよ。
小川信治の絵も興味深かった。本来いるはずの人間がいないことで、逆にその存在を意識する。
村山留理子の「奇麗の塊」は綺麗だったなー。図録の写真がもっと大きかったらよかったのに。
加藤泉のあのおどろおどろしいの好みだ。ああいう暗い愛嬌みたいなのは大好き。でも、奥に飾ってあった絵が図録に載ってないよ。
名和晃平のPixCellシリーズは、やっぱり実際に見て、覗き込んだりすると輝く。写真だと味気ない。
圧巻は池田学。実物みたのは初めてだけど、あれは本当に凄いな。細密とかそういう言葉では表現しきれないものがある。あれはいくら見てても飽きない。何回も戻って見たんだけど、見るたびに新しい発見がある。カニが見開きで図録に載ってたのはうれしかったけど、「興亡史」のでかいのも載せてほしかった。
画像が載ってるページへのリンクとか貼れば分かりやすいんだろうけど、著作権がどうなってるのかよくわからない。
こういうコレクションが飾ってある病院ってのはいいなぁ。それにしても医者ってそんなに儲かるのか。医学部行きゃあ良かった。
- 作者: 内田真由美、児島やよい(企画・監修)
- 出版社/メーカー: 美術出版社
- 発売日: 2008/08/22
- メディア: ペーパーバック
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