イスラムの怒り

「いま、起きていることは、イスラムという宗教の性格に原因があるのではない。イスラムの怒りの原因がどこにあるかを無視し、あるいは知っていながら悪意の挑発を続けてきた西欧の傲慢な態度に原因がある。」(p216)

イスラムの怒り (集英社新書)

イスラムの怒り (集英社新書)

ジダンマテラッツィへの頭突きからイラク戦争パレスチナ問題まで。ムスリムにも非は無いとは言わないけれど悪いのはもともと欧米。欧米のイスラムへの政策も非難も間違っている。何故なら連中はイスラムのことを全然理解していないから。そういう間違った解釈とそれに基づく排斥が事態を悪化させることになる。だからイスラムのことを正しく理解しなければいけない。というような話。たぶん。

と、いうわけで、イスラムのことを正しく知らしめるために、イスラムの文化やムスリムの考え方について書かれている。著者のスタンスがイスラム贔屓過ぎやしないかと思わないでもないけど、イスラム擁護の側からのイスラム評は読んだことが無かったので勉強になった。

  • 「ジハード」とはもともと「聖戦」という意味ではなく、ムスリムとして信仰実践を正しいものにしていく努力のこと。
  • 一夫多妻とは、戦災で夫が死んだ母子を引き取ることを認めるための規定。「では尋ねるが、西欧はキリスト教道徳のおかげで一夫一婦制をとる国が多いが、ホントに守っているのかね?」

等々を読んで、今までの自分の知識がいかに浅薄だったのかがよく分かりました。ありがとうございました。