鼻/外套/査察官
- 作者: ゴーゴリ,浦雅春
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2006/11/09
- メディア: 文庫
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ゴーゴリってのは19世紀前半の人だから古いのは当たり前で、さらに、こういうのが基本となって後世の作品に派生してきているんだから何となく既読感みたいなものを感じて退屈な印象を受けるのも当然の話ではある。あるんだけど、読み手としては読むのが初めてなんだから何かしら新しいものを求めてしまう。勿論面白い部分もあって、鼻が制服着てトコトコ駆けてくとこなんて爆笑したんだけど、全体的にはあんまりな感じだった。
古典の名作とか必読書とかそういう先入観が駄目なのかなあ。ハードル上げすぎみたいな。それとも、こういうのはやっぱり歴史的文脈とかを踏まえてから読んだほうがいいんだろうか。当時の社会情勢とか文学の表現の変遷とか。でも現在まで残っているってことは単に当時よく読まれただけでなく現在まで読み続けられてきたってことだから予備知識のない人間でも楽しめてしかるべきだと思うんだけど、どうなんだろう。
本を楽しむためではなく教養のためと考える方法もあるんだろうけど、そうなると、じゃあ教養って何さ、って問題が浮上してくるんだよなあ。この本を読んで得られる教養ってなんだろう。19世紀前半の文学の一形式とか、当時のロシアの社会情勢とそれに対して作家がどう切り込んだかとか?そんな大層なものを得られた気は毛頭しない。もっと脳天気に読んでたよ。
そもそも作品ってのはたいがいの場合その時代の人々に向けて書かれているんだから、別の時代の人間が読んでも本来の楽しみ方や解釈は出来ない気がする。数十年単位の差ならまだしも、今回は1世紀半ぐらい間があいている。例え当時の世相を知識では知っていてもそれは実際に体験するのとはやっぱり別物だろうから、やっぱり当時の人々のようには、つまり作者が望んだようには楽しむことが出来ないんじゃないかと思う。
そういう齟齬を踏まえた上で、古典作品をどう読むか。うーん、特に結論が思いつかない。とりあえずはたくさん読んでみて模索していくしかないかな。